仏教質問箱布教誌『宝塔』に連載中の「仏教質問箱」より
棚経のする理由は?
布教研究所所員・酒田妙法寺裡 飯田泰英
昔は仏壇が各家庭になかったので、七月と十二月に精霊棚を作り、ご先祖のお位牌や過去帳をおまつりして、そうめん、野菜、果物、故人が好きだった食べ物などを供えて、お坊さんを招いて読経、供養をしたと云います。
江戸時代になって、どの家でも仏壇をまつることが規則で義務づけられるようになりました。
お盆になると、お坊さんが各家庭を回って読経し、ご先祖の供養をすると共に、家族のものに法話を行い、お寺と檀家との結縁を深めました。
精霊棚と各家庭(お棚)で読経することから、棚経と呼ばれていますが、三日間のお盆の間に数百軒の檀家を巡廻する各寺々では、お手伝いのお坊さんをお願いして分担して棚経を行っております。暑いさ中の七月又は八月の、盂蘭盆行事は年間最大の行事とされております。
信仰心が厚く、こうした棚経、お盆、法要等の行事の盛んなところは、平和で犯罪者が少ないことが統計に現れていると云われます。