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仏教質問箱布教誌『宝塔』に連載中の「仏教質問箱」より

最近テレビで芸能人などの葬儀の折、「天国に行かれた○○さん」といっていますが、私たちも死ぬと天国に行くのでしょうか。

布教研究所所員・高岡 本陽寺住職 山本充彦

  お釈迦さまは、我々が生活している人界の他に、九つの世界があると説かれております。それを「十界」といいます。下の世界から地獄界・餓鬼界・畜生界・修羅界・人界・天界・声聞界・縁覚界・菩薩界・仏界となります。天国というのは天界の国を指します 地獄界から天界までを六道といい、生まれたり死んだりの迷い(苦)の世界です。これを六道輪廻といいます。

  天界の粂仙人は、大和の国吉野郡竜門寺に籠もり仙人となりましたが、飛行中、吉野川に衣を洗う若い女の脛(はぎ)を見て通力を失い、墜落したといわれています。まさに迷いの世界です。私たちはこの六道輪廻の迷い(苦)の世界を離れ、仏さまのもと(仏界)に行こうと、常日頃から努力をしております。

  日蓮大聖人が文永十一年(一二七四)二月二十一日、北条彌源太殿に送られたお手紙に、

 『 相構えて能々御信心候て、霊山浄土へまいり給へ。・・・・中略・・・・法華経は三世の諸仏発心のつえにて候ぞかし。但し日蓮をつえはしらともたのみ給うべし。けはしき山、あしき道、つえをつきぬればたおれず。殊に手をひかれぬればまろぶ事なし。南無妙法蓮華経は死出の山にてはつえはしらとなり給へ。釈迦佛・多宝佛・上行等の四菩薩は手を取り給ふべし。日蓮さきに立ち候はば、お迎ひにまいり候事もやあらんずらん。又さきに行かせ給はば、日蓮必ず閻魔法王にも悉く申すべく候。此の事少しもそら事あるべからず。日蓮法華経の文の如くならば通塞の案内者なり。只一心に信心おはして霊山を期し給へ。ぜに(銭)と云うものは用にしたがって変ずるなり。法華経も亦復是の如し。やみには灯となり、渡りには舟となり、或いは水ともなり、或いは火ともなり給ふなり。しからば法華経は現世安穏後生善処の御経なり。』    (昭定八〇六)  

 とあり、我々を霊山浄土(仏さまの元)へ導いてくれるといわれています。

  葬儀の折、菩提寺の住職が亡き精霊に引導文を授与します。その文が霊山浄土に導く文です。日蓮大聖人もお助けくださると申されております。法華宗の檀信徒は安心して天国ではなく、霊山浄土(仏さまの世界)に行けるはずです。

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