仏教質問箱布教誌『宝塔』に連載中の「仏教質問箱」より
六道輪廻とはどういうことですか?
栗田孝之
輪廻とは、サンスクリット語で"サンサーラといい、「さまよう」という動詞から転化した言葉ですが、別に生死とも訳されています。
われわれ生存者がこの世だけでなく、つぎの世もつぎの世も、さまよっていくすがたをいうのです。
したがって、それは迷いの状態であり、解脱はこのような輪廻の境位から脱出することを目指すのであります。
原始仏教並びに古代インドの梵書(ウパニシャッド)には、輪廻は無智と業に根ざしており、時間的に無始であることが知られる。したがって、われわれがこれまで輪廻してきた時間は測り知れないものであり、その間に無数の父母兄弟姉妹を得てから、流した涙の量は四大海水に等しく、積み重ねられた骸はヴイプラ山に同じ、と言われるのであります。
そして、業"カルマ"ということについては、原型はいわゆる善因善果・悪因悪果であり「すぐれた業によってすぐれた人となり、悪しき業によって悪しき人となる」とあります。
そして、この日本における仏教におきましては「輪廻転生」「六道輪廻」などの熟語でよく使われていますが、迷いの世界を六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)に分け、悟りの世界を四聖(声聞・縁覚・菩薩・仏)に配します。
輪廻は六道の中に生死流転することであり、特に地獄界・餓鬼界・畜生界を三悪道と呼びます。 仏教では、この六道輪廻から脱して、即ち解脱・成仏して仏界に致ることを目的としています。
日蓮大聖人は、この目的を達成するには法華経信仰以外にないと教えられた訳であります。