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仏教質問箱布教誌『宝塔』に連載中の「仏教質問箱」より

六道とは

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 六道というのは、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上の六つの世界、又は生き方と云う意味で、まだ悟りに至らない迷いの世界を云います。

 従来はこのような世界が現実にあって、人間は生きていた時の行いによって、死後にこのような世界に生まれると説くこともありましたが、本来は私どもの心の状態とか、生活のあり方の内でも好ましくない、捨てなくてはならない状態を分けて説明したものです。

 この六道輪廻の世界を此岸と云い、この上の四聖道の世界が彼岸となります。声聞、縁覚、菩薩界及び仏界を合わせて十界と申します。

○地獄→これは苦しみの世界です。人間は生老病死のように生きとし生けるものに、本来的な苦しみとか、愛するものが別れなければならないとか、憎しみ合うものが一緒に住まねばならないなどの人間関係から来る苦しみ、それらを種々に説いたのが地獄であります。

○餓鬼→いつも不平不満ばかりで、足ることを知らない状態であって、絶えず欲望に追い立てられて、引きづりまわされている生活を云います。

○畜生→いわゆる畜生のように、倫理も道徳心もなく、礼儀や恥を知らない動物的生活を指すものです。

○修羅→暴力によって憎しみ争う弱肉強食の状態を云います。

○人間→つまらんことに喜んでみたり、悲しんだり、一方では地獄餓鬼にも劣る忌まわしい生活もするが、又一方では仏や菩薩のような崇高な生き方も出来ると云った、向上と向下と、両方の可能性を持った、平均的な生き方であります。

○天上→かの夫人のように好因縁に恵まれて、一見きわめて華やかに幸福そうに見えるけれども、長続きすることがなく、やがては衰微への道をたどるといった短い生き方で、丁度今の一部のタレントや流行歌手などの姿にみられます。

 こられ六つの生き方は、いづれも人間の理想的な生き方からは遠いもので、つまり「迷い」の状態であります。しかし自分自身をよく反省して見ますと、私たちは悲しいかな結局このような六道の生活をしているのではないでしょうか。

 これがつまり六道輪廻で、六道のなかをグルグルといつまでも廻っている状態であり、早く脱出すべき生き方であります。

 その向上への道を声聞、縁覚、菩薩、仏の四段階で説明しておりますが、自ら悟り、他をも悟らせる働きの十分できる人が仏であって、人間の理想とすべき姿であります。

 内なる欲望と、外からの誘惑に負けることなく自らの精神の自由と平安、更に他のために役立つ働きをすること、これが人間の生き甲斐とならなくてはならないのです。

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