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仏教質問箱布教誌『宝塔』に連載中の「仏教質問箱」より

お線香は何本上げるのが正しいですか?

田辺金吾

 私たちの日常の信仰生活の中で欠かせない品のひとつにお線香があります。

 元来、香は酷暑のインドにおいて体臭や廻りの悪臭をのぞくため、しかも香木の産地であったために、芳香を保っため昔から用いられてきました。古来より各種の香が用いられてきましたが、沈香、白檀香などの「香木そのもの」、数種の香木を細かく刻んで調合した「抹香」、粉末状にして練合わせた「練香」(丸香)、また型押しにした「押香」、長い棒状にした「線香」などがあります。

 線香についてですが、日本においては江戸時代初期の寛文8年(1668)、長崎において中国の帰人の清川八郎兵衛が作ったのが始まりと伝えられています。

 インドや中国の線香は竹や紙の芯が入っていますが、日本のものは香料を練り固めたものです。

 さて、線香は何本上げるのが正しいのかということですが、線香は江戸時代にできたものですから、経典には線香は何本が正しいなどとは書いてありません。1本でも2本でも何本上げてお参りされても間違いではありません。すべての祈りをこめて1本、ご先祖さまと新しい仏さまのために2本とか、いろいろな説があります。通常は仏・法・僧の三宝さまに帰依することが仏教徒としての基本条件とされていますから、3本上げなさいといわれています。

 大切なことはその時の状況下でどうするかということで、何よりも"心"ということを念頭におくべきだと思います。大勢の方がお参りされる時は、自分だけが時間をかけては他の方に迷惑となりますから、1本で構いません。また外出前ならば、火の用心を考え1本の線香を半分に折り、2本にして上げても構わないのです。1人静かにお参りする場合は、3本でも7本でもいいわけです。

 お檀家廻りをしていて、仏さま、ご先祖さまに、安くて薫りの悪い、のどをさすような線香を使っている方があります。法華経の分別功徳品の中に「衆宝妙香炉 焼無価之香 自然悉周偏 供養諸世尊」とあります。仏さまに供養するために良香を焚くのです。よい香りにより邪気を払い、諸仏、諸天のご加護を願います。香のはたらきは、自分ばかりではなく、周りをも清浄にする功徳があるのです。

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