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仏教質問箱布教誌『宝塔』に連載中の「仏教質問箱」より

お会式

お祖師さまのご恩に感謝する =御会式にはみんなでお参りしよう=

 

○御会式と云う名のおこり

 御会式と云うのは日蓮大聖人さまの年に一度のご命日に、僧と俗(壇信徒)が一緒になって行なう法会のことを云います。

 御会式は、江戸時代には「御影講(みえいこう)」「大御影講(おおみえいこう)」とか「御影供(おえいく)」とよばれていました。俳聖と云はれた松尾芭蕉の句に「御影講 油のような 酒五升」と云うのがあります。お祖師さまは酒がお好きで、遺された御書の中で「油の如き酒」と表現されたことを、芭蕉が借りたようです。

 真言宗などでも、弘法大師の命日には「御影供」と云う名で法会が行なわれます。混同されることから「御影講(みえいこう)」となり、この音が「みえい」から「めい」とつまって、「御命講(おめいこう)」と云う呼び方に変っていったようです。御会式のことを、オメコまたはオメコさまと呼ぶ土地もあります。

 この御命講にはいろいろな儀式があり、法会の式があることから、法会式から、お会式となったと云う説が一般的のようです。     

○御会式は「報恩」の行事です。

 法華宗徒のわたしたちは、お祖師さまから頂いたご恩は数限りなくありますが、現代に生きる人類のすべてに、正しく生きる道を教えてくださったご恩は忘れてならぬものです。

 釈尊が限りなくお説きになった仏教経典の中で、現代に通用するお経として、釈尊の真意を示されたお経としての法華経の非常に大切なことを発見されて、法華経にあるとおりの生き方をし、この生き方をしなさいと、私たちを方向づけをされたのが、お祖師(日蓮)さまであります。

 私どもがこうしていま、安心して暮らしていられるのも、その源にお祖師さまのお考えがあったからであります。全国の法華宗寺院で、毎朝毎夕おつとめをしてこのご恩に感謝の気持ちを捧げています。まして年に一度のご命日となれば、お寺だけでなく、檀信徒全員で感謝の誠を捧げる、それがお会式であります。

 お会式は日蓮さまのみ教えにしたがうすべての人々が、日蓮さまへの感謝と報恩の心をこめて行う大切な法会なのであります。

○日蓮さまのご命日は10月13日

 弘安5年(1282)10月13日が日蓮さまのお亡くなりになった日であります。昔は旧暦だったから、いまの11月下旬頃になりましょうか。

 法華宗の全国のお寺では、それぞれお会式の日をいまのカレンダーの10月13日に行なったり、月おくれの11月13日に行なったり、あるいは旧暦にしたりとまちまちです。しかし日蓮さまの報恩のためのお会式は、法華宗のどんな寺院でも必ず日を定めて行っております。

 御会式が近づくと、檀家さんが集まって紅白のお餅をついたり、色とりどりの千代紙などで、たくさんの花を作り、長い竹ヒゴに結んでお会式花を仕立てたり、「お手綱」とよばれる白い布を日蓮さまのお手から、参道の中ほどに建てた法塔にゆわいて、布の先をたらす。この布をにぎると日蓮さまと握手することが出来るわけです。     

○万灯でにぎわう「おたい夜」

 13日だけの御会式をつとめるところが最も多いようですが、なかには二日間とか三日間の御会式を奉行するところも多い、一番にぎやかなのは「おたい夜」と呼ばれる十二日の夜です。

 「万灯(まんどう)」行列があったり、夜店が山門の外までも建ちならぶ、夜ふけまで黒山の参詣の列が続く「まとい」をふるう若者、タイコとカネでおはやしをする人、ウチワ太鼓で一心にお題目を唱えて行進する信者さんたち。日蓮さまが「二陣三陣とわれにつづいて来たれ」と云われたおことばを身を以て体験しているようにも思えます。

 御会式は、全国どこでも晩秋から初冬にかけての風物詩となっております。  

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