仏教質問箱布教誌『宝塔』に連載中の「仏教質問箱」より
お仏壇での供養の仕方を教えて下さい
藤本典行
本来仏壇とは、お寺の本堂の内陣に設けられた仏像の安置の壇をしめし、本堂の壇のことを、須弥壇といいます。これは、仏教の世界は、須弥山を中心にして成り立っていて、特に法華宗では法華経で説かれている仏の世界を須弥壇の中に再現しているのです。そして、仏舎利は、塔を建てて、その塔の中に安置して供養します。この塔(仏舎利=お骨の安置)と須弥壇(仏像=木像、画像の安置)の関係が、家庭のお墓と仏壇の関係になるわけです。ですから、わが法華宗の信徒にとっては、仏壇はその中に、法華経の世界が再現されている場であり、ゆえに、法華経のご本尊(お曼荼羅と一塔両尊の仏像)が上段の中央に飾られていなければなりません。また、供養には、その対象が必要です。その対象は、第一にご本尊(三宝尊)であり、次にご先祖さまです。このご先祖として、お位牌あるいは、過去帳が必要です。ご供養の対象ならびに仏壇の中の世界が飾りによってそろったところで供養についてお話ししましょう。供養については、法華経の法師品第十に説かれています。十種供養といいます。十種供養については、お寺のご本堂の中の飾りについて思い出してみてください。
1花 2香 3瓔珞 4抹香 5塗香 6焼香 7蓋 8憧旛 9衣服 10伎楽が供養の折にその場を飾って(荘厳)おります。でも家庭の仏壇での供養となった場合は、次の五種類のことが肝心であります。このことを五供といいます。1香 2華 3燈燭(五具足脇に燭台一対、燭台の外側に花立一対、または三具足中央に香炉、燭台を向かって右、花立を向かって左に配置) 4浄水(お茶、水、湯など) 5飲食(お膳、果物、菓子)であります。とくにお膳については、毎日のことですから、負担にならないようにおこなうことが肝要でありましょう。ここまでで、仏壇でのご供養に必要な荘厳具はそろいました。次に、供養の心構えについてお話します。法華経の中の仏さまへの供養の例からすると、供養の意味は、供養対象への 1渇仰心 2報恩感謝 3慰安という三つのことが含まれています。その中でも、法華経の寿量品第十六では、仏へお会いしたいという心(=渇仰の心)こそ、我々末法の時代に生きている者には必要だと述べておられます。供養対象と感じ合う心(感応道交)によって、みずからの仏心を磨きあげていくことが大切でありましょう。