仏教質問箱布教誌『宝塔』に連載中の「仏教質問箱」より
なぜ「灯明(ローソク)」をあげるのですか?
椿澤舜寛
灯明(ローソク)とは、神、仏に供養する灯火(火)のことで、「みあかし」または「あかし」などともいいます。
仏典には、灯明を供養することにより受ける功徳は、大変大きいと説かれています。
灯明は、仏さまの智慧(物事の相を照らし、惑を断ってくれる力・はたらき)を象徴し、無明(無知・苦をもたらす原因・迷い・煩悩・愚かさ)を消滅してくれるといわれています。
要するに、仏壇の前に心静かに座り、灯明を仏さまに供養し、お経を読み、お題目を唱えることにより仏さまの功徳という救いをいただいているのです。よって灯明をあげるのです。
インドの説話に、貧女(者)の一燈(灯)という話があります。国王に献じ供養するために、1人の老婆が貧しい生活の中から1灯の小さな灯明を用意しました。裕福な者は、大きな万灯を用意しました。大きな万灯は、風に消えたり、油がつきて無くなったが、一老婆の献じた灯明は、消えなかったのです。本来であれば、一老婆の灯明が早く消えるはずなのに、最後まで残っだということは、一老婆の方が功徳が勝っていたという話です。これは、灯明の量、数ではなく、一老婆が貧しい中からでも、ぜひ供養したいという心が、裕福な者達より勝っていたということです。
灯明の意味を理解し、新光の心を持って供養、仏道修行することにより、一層の信力増進に、精進していただきたいと思っています。
※法華経では、灯明=光・光明・日月(太陽・月)の光と同じ意としている場合がある。
※灯明は、昔油を用いていたが現在はローソクである。燭台・灯台などで灯す。
昼夜の別なく灯すのが常夜灯、多くの灯を仏さまに供養する法要を万灯会という。