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仏教質問箱布教誌『宝塔』に連載中の「仏教質問箱」より

身延での日蓮大聖人のご様子を知ることができるでしょうか。

布教研究所所員・豊橋 本門寺住職 都築英信


 今年は子細候、ふゆと申すふゆ、いづれのふゆかさむからざる。なつと申すなつ、又、いづれのなつか、あつからざる。ただし、今年は余国はいかんが候らめ、このはきゐは法にすぎてかんじ候。ふるきをきなども(翁共)に、とひ候へば、八十、九十、一百になる者の物語り候は、すべていにしへこれほどさむき事候はず。此あんじちより四方の山の外、十丁二十丁人かよう事候はねばしり候はず。きんぺん一丁二丁のほどは、ゆき一丈・二丈・五尺等なり。このうるう(閏)十月三十日、ゆきすこしふりて候しが、やがてきへ候へぬ。この月の十一日、たつの時より十四日まで、大雪下て候しに、両三日へだてて、すこし雨ふりて、ゆきかたくなる事、金剛のごとし、いまにきゆる事なし。昼も夜もさむくつめたく候事

  このお手紙は弘安元年、日蓮大聖人御歳五十七の時、兵衛志殿へあてられたものです、身延のお山の冬の寒さの様子です。

  今年はどうしたことでしょう。なにか特別の原因でもありましょうか、冬といえばどこでも寒い、夏といえばどこでも暑いに定っている。よその土地ではどうか知りませんが、この地波木井(身延の地を波木井郷と呼んだ)はことに私には寒く感じます。この地の老人に尋ねてみました。八十・九十・百ほどの人が申すには、全く昔でも、今年の寒さほどの年はなかったと申します。私はこの庵から外、四方の山中、十丁・二十丁ほども出歩いたこともないのでわからないが、近いところの一丁二丁のあたりは、雪は一丈、二丈少ないところでも五尺ぐらい、先月十月三十日でしたか、雪が少々降りまして消えてしまいました。十一月十一日たつの時(午前八時)から降り出した雪は大雪となって、十四日まで降りつづきました。その後二・三日少々雨が降ったため、雪は凍ってしまいその堅いことはがねのようです。

このように身延の冬は大そう厳冬であったことがうかがわれます。

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