仏教質問箱布教誌『宝塔』に連載中の「仏教質問箱」より
観音さまについておしえて下さい。
布教研究所助手・富山 本陽寺住職 都築昌信
観音さまの正式の名称は、古い中国語訳では「観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)」となっており、新しい中国語訳では「観自在菩薩(かんじざいぼさつ)」となっています。
「観世音」の「世音」とは世間の人の声であり、我々の悩みのことです。「観」とは観察することであり、世間の人々の悩みを聴いて下さるのが観音さまです。『法華経(ほけきょう)』のなかの『観世音菩薩普門品第二十五』(観音経(かんのんきょう))と通称される)では、観音さまについて説かれています。
このなかで、観音さまは世を救済するために、人々の教えを聴く能力に応じて自分の姿をありとあらゆるものに変化(へんげ)させ説法(せっぽう)され、観音さまがこの娑婆(しゃば)世界に住む我々を救ってくださるのであるから、一心に供養(くよう)しなければならない、と説かれています。 偈文(げもん)の中では名句が多くあり、一例を挙げると「慈眼視衆生(じげんじしゅじょう)・福聚海無量(ふくじゅかいむりょう)」(あらゆる功徳(くどく)を具(そな)えて慈悲(じひ)の
眼をもつて人を見る。その福徳が集まっている海ははかりしれない)があり、広く民間に信仰されているお経です。