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仏教質問箱布教誌『宝塔』に連載中の「仏教質問箱」より

女性が成仏することができるのは法華経だけなのですか?

布教研究所所員・酒田 真量院裡 石丸司朗

  弘安元年(一二七八)日蓮大聖人が阿仏房の妻、千日尼御前にあてられた手紙で、 「漢土の天台智者大師法華経の正義を読み始め給わいしには、他教は但だ男に記して女に記せず。乃至今教は皆記す等云云。此れは一代聖教の中には法華経第一。法華経の中には女人成仏第一なりと断らせ給うにや。されば日本一切の女人は、法華経より外の一切経には女人成仏せずと嫌うとも、法華経にだにも女人成仏許されなば、何か苦しかるべき。

(中略)

其の中に悲母の大恩殊に報じ難し。此を報ぜんとおもうに、外典の三墳(さんぷん)・五典(ごてん)・孝経(こうきょう)等によって報ぜんとおもえば、現在を養いて後生を助け難し。身を養い魂を助けず。内典の仏法に入って五千七千余巻の小乗・大乗は、女人成仏難(かた)ければ悲母の恩報じ難し。小乗は女人成仏一向に許されず。大乗経は或いは成仏、或いは往生を許したるようなれども、仏の仮言(けごん)にて実事(じつじ)なし、但だ法華経計(ばか)りこそ女人成仏、悲母の恩を報ずる実の報恩経にては候えと見候いしかば、悲母の恩を報ぜんために、此の経の題目を一切、女人に唱えさせんと願す」

訳しますと、 「中国の天台智者大師が法華経の意義を正しく始めて理解されたとありますが、その著述では『他教(法華経以外の経)は、ただ男にだけ成仏を許して保証したが女には許していない。法華経では男女共に成仏の保証が与えられた』と述べられました。

  これからのことは仏さまご一代の全経典の中で法華経が第一の経典であり、その法華経の中で説かれた法門の中で女人成仏が第一であると判断されたのでしょう。   このようであるから、日本のすべての女性は法華経以外の一切経で女人は成仏を果し得ないと嫌われても、法華経にさえ女人成仏が許されているのですから、どうして心配することがありましょうか。

(中略)

  そのなかでも悲母の大恩はとくに重いものであるので、ご恩を報ずることはとてもできません、母の大恩に報いることを考えると、仏教以外の書物などで報じようと思っても、現世で養うことができても後生まで助けることはできません。これでは肉体を養っても魂を救済することができません。内典(仏教経典)の仏教典籍では、五千とか七千巻といわれる小乗経・大乗教は、女人成仏は困難であると説かれてますので、悲母の恩を報ずることはできません。

  ことに小乗経典は女人の成仏が全く許されていません。大乗経典では、あるいは成仏とかあるいは往生を許されているようであるが、仮の言葉であり真実の成仏・往生を許したものではありません。ただ法華経にのみ女人成仏が許されているのです。悲母の恩を報ずる実の報恩経が法華経なのであると見ましたから悲母の恩を報ずるためにこの経の題目(南無妙法蓮華経)を一切の女性に唱えていただきたいと願ったのです。  

と述べられています。法華経の提婆達多品第十二に一切の女性の救済が説かれています。

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