仏教質問箱布教誌『宝塔』に連載中の「仏教質問箱」より
自宅用の過去帳を作るのには どうすればいいのですか?
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自宅の過去帳を作るには、まず菩提寺のご住職に相談して下さい。
自分のご先祖さまの命日、俗名、続柄が分からないという理由で、自宅用の過去帳の作成を依頼する方がおられますが、本来は当家の先祖供養のために特別に菩提寺に依頼するもので、簡単に手に入るものではありません。
自宅の仏壇には位牌がありますが、位牌には法名(戒名)だけ記載されていて、それ以外は分からないことがあります。過去帳には法名以外に俗名、命日などと、一日から晦日(三十日)までの三十番神が記載されています。
お寺にはお寺全体の霊位の過去帳があり、自宅に当家の過去帳を持っている方もいます。お寺の過去帳には、時系列に古いものから新しいものが記載されている年代順と、一日から三十一日までその日ごとに記載されている日順の二種類あります。
年代順も日順も記載内容は同じで、法名(戒名)、俗名、命日、施主名、続柄、行年(年齢)などがあり、それぞれの寺によって多少の違いがあります。
ご住職は自宅用の過去帳の作成を依頼されると、寺の全体の過去帳から当家に関係するご先祖さまを調査して新たに自宅用の過去帳に記載する作業をします。過去帳の作成には多くの時間と労力を費やします。今日依頼して明日できるようなことはありません。
参考資料として役立つのが戸籍謄本です。戸籍と過去帳は身分を証明するものとして同様のものです。日本国籍を有する方は必ず戸籍があります。戸籍は本籍地の市区町村役所で管理されています。戸籍には自分の名前、生年月日、父母の氏名、続柄、本籍地、婚姻や死亡などの身分事項が記載されています。自分の親、親の親とたどっていけば明治時代のご先祖さままで分かります。現在の戸籍謄本が一通四百五十円、すでに全員が除かれたものが除籍謄本、法律の改正があって改製されたものが改製原戸籍謄本で七百五十円の手数料でそれぞれ交付が受けられます。ただし第三者の請求はできませんので詳しくは本籍地市区町村役所で確認して下さい。
自宅用の過去帳が出来上がっても仏壇に飾ってあるだけではいけません。毎朝のお勤めは必ずいたしましょう。