日蓮大聖人のおことば 布教誌『宝塔』に連載中の「日蓮大聖人聖訓カレンダー解説」より解説者の役職・所属寺院名などは掲載当時のもの
悦ばしき事は 法華最第一の経文なり
解説:学林教授・中原 本門寺住職 光林 孝玄
なによりも受け難き人身、値い難き仏法に値ひ候に、……一歳より六十に及んで多くの物を見る中に悦ばしき事は法華最第一の経文なり。 ―大聖人
このお言葉は、大聖人ご自身が、法華経とめぐり会えたことの悦びを綴られた、年頭のご聖句です。
遥か彼方の天竺西域の地から、千波万波の大海を渡り、遂に東の果て日本に伝えられた仏法。八万四千の法門とも云われる膨大な仏典、一切経の中で最も尊い経典が『法華経』なのです。
法華経は未来永劫に人々を救いつづける久遠の法であり、法華経を説くことこそが、実は釈尊の出世の目的(本懐)でありました。それゆえに、法華経は諸経の王と位置づけられ、「妙法蓮華経法師品第十」には、
我が所説の諸経、而も此の経の中に於て、法華最も第一なり。
と説かれているのです。
大聖人は、幼少から仏門に身を投ぜられ、仏道研鑽の中で、このことを確信されるに至りました。
人々の心が荒んだ末法の世を救う唯一の法は、法華経本門寿量品の肝心「南無妙法蓮華経」以外にありえないことを、大聖人は生涯を通して私たちに教えられたのです。
私たちが人間としてこの世に生をうけることができたこと、しかのみならず、こうして法華経に出あえたことは、正しく宿縁の不思議という他ありません。私たちはこの妙縁を大切に、感謝の心持ちで日々を過ごさせていただくのであります。