日蓮大聖人のおことば 布教誌『宝塔』に連載中の「日蓮大聖人聖訓カレンダー解説」より解説者の役職・所属寺院名などは掲載当時のもの
法華経にそめられ奉れば必ず仏になる
解説:西山英仁
このお言葉は建治二年、大聖人五十五歳、駿河国富士郡西山郷の地頭大内氏に、与えられたお手紙の一節であります。
釈尊の一切経の中心は法華経であり、法華経の中心は本門であります。本門寿量品には久遠実成の本仏が説かれ、本仏釈尊こそが三世にわたって衆生を救済する本師であることが明かされています。
久遠の本仏が一切経の根本の仏であるように、妙法蓮華経も一切の仏の教の根本でもあります。
妙法蓮華経の五字には本仏の万行万善の功徳が包蔵するがゆえに、この五字を受持すれば自然に本仏因果の功徳を譲与されるというのが末法の易行、唱題行なのであります。
この五字を受持することは持続的に南無妙法蓮華経と唱えることです。それは凡夫の心を捨てて、本仏に全てを任せ順い奉る姿であります。この時、本仏に全てを任せ切る修行者の信心と、「毎自作是念」の本仏の大慈悲が、唱題を媒介として感応するのであります。「一心欲見仏、不自惜身命」の心で、本尊に向って題目を唱えるとき、本仏のもつ徳が自然に修行者に譲り与えられます。譲り与えられた結果、本仏と衆生が同化融合するのです。
この唱題受持行によってこそ成仏が可能となり得るのです。
私達は法華経を信じ、法華経の正善に染まれば、現世安穏の生活を送ることができましょう。