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日蓮大聖人のおことば 布教誌『宝塔』に連載中の「日蓮大聖人聖訓カレンダー解説」より解説者の役職・所属寺院名などは掲載当時のもの

日蓮こいしくをはせば常に出る日ゆうべにいづる月ををがませ給え

出展:国府尼御前御書(昭定一〇六四頁)
解説:学林助教授・岡崎 長福寺住職 牧野真海

日蓮こいしくをはせば常に出る日ゆうべにいづる月ををがませ給え

 国府尼御前は、国府入道の妻で、大聖人が佐渡に流されていた約二年半の間、困窮の極みにあった大聖人のもとへひそかに食事を運ぶなど、佐渡における大聖人の生命をつなぐ大切な外護者でした。今月の聖訓は、大聖人が佐渡流罪を赦されて身延山に隠栖した翌年に、国府尼御前が衣一領を大聖人に送った供養に対する返礼のお手紙の一節です。
  おどろくべきは、国府入道夫妻は大聖人佐渡在島中のみならず、島を離れ、遠く身延の深山に居を移された後も、こうして遠路遙々供養の品を送るほど大聖人に心酔していたことです。現在は陸路、海路ともに交通手段が充実して佐渡・身延間も一日で行き来できますが、当時は荒れる日本海と本土の高い山々が立ちはだかり、満足に歩けるような街道すら整備されてはいない環境ですから、おいそれと簡単に会いに行くというわけにもいきません。よって大聖人はこのお手紙の締めくくりとして、「日蓮のことが恋しくなったときは毎日昇る朝日や、夕べの空に浮かぶ月を私と思って拝んで下さい。
私の心は日月の中にありますから。また、後生(死後)は霊山浄土でお目にかかりましょう。南無妙法蓮華経」
と結んでおられるのです。
  不謹慎と叱られるかもしれませんが、例えるならば、あたかも遠距離恋愛を余儀なくされている恋人たちの相聞歌(ラブレター)のようなご文章です。
  このお手紙は、大聖人の信者に対する優しさや深い愛情、そして何より大聖人のロマンティックな一面が活き活きとした筆致で描かれ、拝読しておもわず心が熱くなるのを感じるのは筆者だけでしょうか?

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