日蓮大聖人のおことば 布教誌『宝塔』に連載中の「日蓮大聖人聖訓カレンダー解説」より解説者の役職・所属寺院名などは掲載当時のもの
人をよくなすものは かたうどよりも 強敵が人をばよくなしけるなり
出展:種種御振舞御書 昭定九七二頁
解説:学林教授・中原本門寺住職 光林孝玄
このお言葉は、大聖人が身延(みのぶ)に入られてから三年目、大聖人を慕(した)い、法華経(ほけきょう)への純真なる信心をまっとうされた安房(あわ)国(千葉県)の檀越(だんのつ)、光日房(こうにちぼう)に与えられた、有名な『種種御振舞御書(しゅじゅおんふるまいごしょ)』の一節です。
大難四ケ度(だいなんしかど)小難数知(しょうなんかずし)れず-大聖人釈尊の真実の教え『法華経(ほけきょう)』を弘(ひろ)めることに身命を捧げられた大聖人。そのこ生涯は、「強敵(ごうてき)」からの受難の数々を伴う、筆舌に尽くし難い壮絶なものでした。
法華経を弘める者の歩みを阻害(そがい)し、迫害を加える存在を「強敵」と申します。
この強敵との遭遇(そうぐう)は、信の仏弟子であることを証明するものと経文に予見されており、大聖人みずからが本仏(ほんぶつ)釈尊の遣(つか)い(本化上行菩薩(ほんげじょうきょうぼさつ))であることの自覚に到達される重要な契機となったのです。
私たちの人生は決して平坦ではなく、寧(むし)ろ困難と向き合わねばならないことの方が多いと思われます。時に思いもかけぬ苦境が待ち受けていることさえあります。
しかしながら、大聖人のこ指南(しなん)に遵(したが)い、私たちは、仏天の照覧(しょうらん)の下での敬慶(けいけん)な信仰を心掛けるならば、必ずや、諸天のご加護(かご)が諸難を消除(しょうじょ)せしめ、すべてのものごとは妙なる仏縁と捉(とら)えられ、この現実の中に釈尊(本仏)のみ心が顕れるのを目(ま)のあたりにすることでしょう。
日蓮は日月帝釈梵王(にちがつたいしゃくぼんのう)を方人(かたうど)とせん・・・・大聖人