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日蓮大聖人のおことば 布教誌『宝塔』に連載中の「日蓮大聖人聖訓カレンダー解説」より解説者の役職・所属寺院名などは掲載当時のもの

花は根にかえり 真味は土にとどまる

出展:報恩抄(聖寿五十五歳・昭定一二四九頁)
解説:学林教授・中原本門寺住職 光林孝玄

花は根にかえり 真味は土にとどまる

 美麗(びれい)に花を咲かせる草木たち。地中に深く広く延びる根によって支えられ、陽光・天水・清風・豊かな土壌(どじょう)の恩沢(おんたく)に浴(よく)して育(はぐく)まれております。
 身延(みのぶ)へ隠棲(いんせい)されて二年目の春、大聖人は幼少出家(しゅっけ)時の師匠・道善房(どうぜんぼう)の悲報に接せられます。
 仏法(ぶっぽう)の真味、法華経(ほけきょう)の功徳(くどく)。そして大聖人ご自身の仏道精進(ぶつどうしょうじん)の成果を、すべて亡き恩師に捧(ささ)げんと万感(ばんかん)をこめてしたためられ、亡き師の墓前に捧げられた一書が、有名な『報恩抄』(建治二年)です。
 今月の御聖訓は、冒頭に述べた、草木たちの姿によせて、私たちのあるべき姿が譬(たと)えられた、『報恩抄』の一節であります。
 すなわち、私たち一人ひとりが、自らを育んでくれた恩人に対して感謝の心をもつこと、亡き大切な存在に対し、報恩の心をもって「本門寿量品(ほんもんじゅりょうほん)の肝心(かんじん)南無妙法蓮華経」を捧げていくことの大切さをご教示下さっているのです。
 私たちの生命は、ご先祖さま方の存在なくしてあり得ません。また、多くの恩人から愛情を注がれ、育まれた生命であることを決して忘れてはなりません。
 私たちが捧げるご供養の祈りは、必ずや、天鼓(てんく)となって法界(ほうかい)に響き渡り、ご先祖さま方をはじめ、今は亡き、縁ある恩人たちに潤(うるお)いをもたらすのです。
 こうした報恩(ほうおん)の営(いとな)みは、私たち個々の人生や社会の中にも、麗(うるわ)しき花を咲かせるに違いありません。

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