日蓮大聖人のおことば 布教誌『宝塔』に連載中の「日蓮大聖人聖訓カレンダー解説」より解説者の役職・所属寺院名などは掲載当時のもの
法華ヲ弘ムル者ハ諸仏之使者也
解説:松吉範員
幕府より、幕政批判の罪をきせられ逮捕された日に、幕府重職の平頼綱へあてられた書状の一節です。
これより先、九月十日に大聖人様は反対者の極楽寺良観の口車に乗った幕府要職者の未亡人(後家尼)達によって動かされた幕府により、幕政批判・人心かく乱の疑いにて問註所へ呼び出され、きびしい喚問を受けられました。
その時も大聖人様は、平頼綱の詰問や威嚇に対して、少しも屈することなく堂々と、法華経以外の諸経を依りどころとする諸宗を尊崇すれば、日本は必ず亡んでしまうとの持論を述べられました。
大聖人様はこれより以前、文応元年(一二六○)七月に立正安国論と題した建白書を幕府に奏上し、邪宗を禁じて法華一経の信心を致すよう申込れをされましたが、これに反対する真言・律を持つ極楽寺の良観達は、前の執権職であった北条時頼の未亡人などへ「日蓮は時頼様が地獄に堕ちている」といっていますよなどといってそそのかし、日蓮を罰しないと大変なことになりますよと迫りました。これを聞いた未亡人(後家尼)達は、幕府の要職者に働きかけて、大聖人様を捕えさせたのでした。この逮捕前に書かれたと思われる書状には、ご自身こそ、法師品にある本仏様のお使いであり諸仏・菩薩等の代官であって真の法華経の行者なることを宣言されたのでした。
私達大聖人様のみ教えを信じ弘める者も、大聖人様のこのご自覚を受けついで修行しなくてはならないのです。