日蓮大聖人のおことば 布教誌『宝塔』に連載中の「日蓮大聖人聖訓カレンダー解説」より解説者の役職・所属寺院名などは掲載当時のもの
法華経は一代聖教の骨髄なり 自我偈は二十八品のたましひなり
解説:西山英仁
このお言葉は、大聖人の篤信者曽谷入道法蓮が、亡き慈父の供養に法華経を転読し、また十三箇年の間、毎朝自我偈を読誦したことに対し、その修行の功徳を讃嘆された御書の一節であります。
一代聖教とは、お釈迦様が一生涯を通して説かれた全ての経教を指します。その中で、法華経という経典は最も勝れた骨髄の教えであり、故に法華経を信受し読誦すれば、お釈迦様の全ての経教を修行したことになるとされました。
そして更に、その法華経の二十八品の中でも、本門寿量品の自我偈こそ、最も勝れた魂の教えであると示されたのであります。
仏教の修行には、自力か他力かという論議がありますが、大聖人様によれば、その両方が必要であるとされます。すなわち、自力のみ片寄って己の限界(至らなさ・つつしみ)に気がつかないならば、非宗教的な驕り・有頂天の天魔の教えに陥ってしまい、また逆に、他力のみに偏して己の求道心(厳しさ・責任)を失えば、正しい方向を見誤り、非仏教的な転嫁・地獄の教えに堕してしまいます。
まことの「悟り」として完全具足されたのは本仏お釈迦様であります。そしてみ仏の「悟り」は、法華経・自我偈に説き顕され、この教えを信じさせて頂く所に私共の救いが開かれるのであります。本門のお題目(法華経・自我偈)を信ずる私共の信力の中に、まことの修行をさせて頂くのであります。