日蓮大聖人のおことば 布教誌『宝塔』に連載中の「日蓮大聖人聖訓カレンダー解説」より解説者の役職・所属寺院名などは掲載当時のもの
なによりも受け難き人身 値い難き佛法に値いて候
解説:学林教授・中原 本門寺住職 光林 孝玄
日蓮大聖人は私たちに、絶えず「人として生まれてくること」「仏法にめぐり会うこと」が、有り難き因縁、すなわち「奇跡」であることを深く心肝に刻むよう、ご教示くだいました。
法華経(薬王菩薩本事品)には、
仏には値い奉ること得難し、優曇波羅華の如く。
又一眼の亀の浮き木の孔に値えるが如し。
而るに我等宿福深厚にして仏法に生まれ値えり。
と、三千年に一度咲く優曇華の花に出会うがごとく、また、太陽の光を求めて千年に一度海中より浮上する一眼の亀が、偶々浮流する栴檀木の穴に身を託して暖をとるがごとく、遥か長い旅路を経て、ようやく人に生まれ、そして、仏法、中でも法華経に出会えたという、私たちの神秘が説かれています。
お題目は、私たち一人ひとりの生命を本当の救いに導く、本仏釈尊のお悟りそのもの、魂そのものに他なりません。私たちは、今、奇跡の教え、お題目に出会えたことに心から感謝の気持ちを捧げ、日々、有り難くお題目を頂戴させていただくのであります。
見聞触知 皆菩提に近づく・・・
そうした中で、日常、目にすること、耳にすること……ありとあらゆる営みが、実は、尊い仏縁と共にあることが、あらためて実感されるものであります。